樹状細胞ワクチン療法

樹状細胞ワクチン療法とは

樹状細胞ワクチン療法は、樹状細胞に備わっている強力な抗原提示能を最大限に活かす治療法です。
樹状細胞にがん抗原(ペプチド)を覚えさせることで、がん細胞に特異的な攻撃システムを構築した「樹状細胞ワクチン」を作製します。
がんの目印と結合させた樹状細胞を皮下(または皮内)注射することにより、体内のナイーブT細胞へ抗原提示を行います。
ナイーブT細胞のうち表面抗原がCD8陽性の細胞は、活性化してがん特異的細胞傷害性T細胞(CTL)へ分化して、がん細胞を傷害します。
また、CD4陽性の細胞は、ヘルパーT細胞へと分化しサイトカインを産生することで、他の免疫細胞をさらに活性化し強化することが期待されます。

樹状細胞ワクチン療法の特色

  1.  樹状細胞と結合させる「がんの目印」として、人工的に作製した「 WT1がん抗原」をはじめとした、複数の有効性について評価された人工抗原を用います。
    これによって、ほとんどの固形がんに対する適応性を高めます。
  2. 体内のナイーブT細胞にがん抗原を提示することで、特異的なT細胞が誘導されて、がん細胞に狙いを定めて集中的に傷害します。
  3. がん細胞の情報を記憶したメモリーT細胞によって、体内で免疫力が持続化するため、長期的な効果が期待されます。
  4. 人工抗原「MACS® PepTivator®」は、11アミノ酸ずつオーバーラップするペプチドからなり、タンパク質の全配列をカバーしています。
    これによって、白血球の型(HLA型)を調べる必要がなく、すべてのHLA型に適用可能となりました。

がん抗原について

「WT1がん抗原」は、ウイルムス腫瘍遺伝子のことで、ほとんどの固形がんに高発現するがん抗原であると報告されています。
下図で示されているように、「WT1」は、75種類のがん抗原において、9項目の有用性について評価され、米国の権威ある学会誌「Clinical Cancer Research」で、最も優れていると評価されたがん抗原です。

学会誌「Clinical Cancer Research」2009

従来の「WT1ペプチド」では事前に、白血球の型(HLA型)を調べる必要がありましたが、当院で使用する人工抗原「MACS® PepTivator®」は、11アミノ酸ずつオーバーラップするペプチドからなり、タンパク質の全配列をカバーしています。

これによって、治療前のHLA検査の必要がなくなり、すべてのHLA型の患者さんに適用可能となりました。

当社の樹状細胞ワクチン療法は、より高い治療効果を期待するため、任意のオプションで人工抗原を加えるのではなく、最初から複数の人工抗原を使用します。WT1の他にも、がん細胞に特徴的に高発現している人工抗原を複数用いているので、様々ながん種に対して適応が可能です。